LOGISTICS COLUMN

物流コラム

2024.12.31

EC物流とは

EC物流の定義

EC物流とは、オンラインショッピングなどの取引における物流業務のことを指します。

具体的には、【消費者がインターネットを通じて購入した商品を、効率的に配送するための一連の業務】を意味します。これには、商品の受注から配送、さらには返品処理に至るまで、複数のプロセスが関わります。

近年、EC市場は急速に拡大しており、商取引全体におけるECの割合を示す【EC化率】は、BtoC-ECで9.13%(前年比0.35ポイント増)、BtoB-EC(企業間取引)で37.5%(前年比1.9ポイント増)と増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展しています。

EC物流の重要性

これに伴って物流業界の重要性も増しています。商品の配送自体、顧客体験に直結するため、消費者満足度に大きな影響を与える要因として「EC物流」が注目されているわけです。

EC市場が拡大する中で、物流の効率化迅速化が求められるようになっています。
特に、消費者のニーズが多様化し、即時配送指定日時配送を求める声が増えているため、物流のスピード精度はこれまで以上に重要です。配送が速く正確であれば、消費者の満足度が向上し、リピーターの獲得にもつながります。

反対に、配送の遅延や商品の破損などは、消費者の信頼を損ねる原因になってしまいます。店舗レビューにマイナス評価が付いてしまうと、転換率にも大きな影響がでてしまいます。

以上のことから、EC物流は、単なる物流の一部ではなく、企業の競争力を左右する重要な要素と言っても過言ではないでしょう。

また、企業にとって、EC物流はコスト面でも大きな影響を与えます。

効率的な物流プロセスを構築することで、コスト削減が可能となり、企業の利益に大きく貢献できます。
倉庫管理在庫管理配送方法の最適化など、各プロセスにおいて効率化を図ることができます。

EC物流の工程

商品管理・在庫管理

EC物流における最初のステップは商品管理在庫管理です。

オンラインショップにおいて、消費者が注文する商品が倉庫に確実に存在していることを確認するためのシステムが必要です。在庫管理は、商品が注文されてから配送されるまでの間、正確にどこにどの商品の在庫があるかを追跡する重要な役割を果たします。

在庫管理システムを導入することで、リアルタイムで在庫数を把握することが可能になります。これにより、過剰在庫や欠品を防ぎ、効率的なECの運営が可能になります。

また、商品管理には、商品の入荷時の品質チェックや、倉庫内での保管方法の工夫も重要です。商品の破損や損傷を防ぐため、適切な場所に保管し、必要な時にすぐに取り出せるようにする必要があります。

ピッキング・梱包

商品が注文されると、倉庫内でピッキング作業が行われます。

ピッキングとは、注文された商品を倉庫内から選び出す作業のことです。効率的なピッキングを行うためには、商品の配置を工夫し、作業者がスムーズにアクセスできるようにする必要があります。これには、システムによる作業者ごとの実績を見える化したり、ロボットを使った自動化技術が活用されることもあります。

次に、商品の梱包が行われます。

梱包は、商品が配送中に破損しないようにするために非常に重要です。また、運賃・資材費の最適化のためにも、商品サイズに最適なサイズの箱やパッケージを選ぶことが求められます。

エコ包装を意識した梱包材の使用や、リサイクル可能な素材を選ぶことも、環境に配慮した物流の一環として重要です。特にエシカル商材の梱包においては重視する大きなポイントとなります。

配送

商品が梱包された後、次は配送が行われます。

配送には、消費者の元まで商品を届けるための手段として、宅配便郵便、さらには自社配送ネットワークを利用する場合もあります。配送業者によっては、即日配送翌日配送を実現するために、高度な物流システムが構築されています。

EC物流の問題点・改善策

ピッキングミス・配送ミス

ピッキングミスや配送ミスは、EC物流における非常に一般的かつ重大な問題です。

ピッキングミスは、倉庫内で注文された商品を間違えて選んだり誤った商品を梱包してしまうことを指します。

また、配送ミスは、間違った住所に商品を送ってしまったり、指定日時が守れないなどの問題が発生することです。

これらのミスは、顧客の不満を引き起こし、企業の信頼性に大きな影響を与えてしまいます

ピッキングミス・配送ミスの原因

倉庫内の混乱や商品が不適切に配置されていること。
• ピッキング作業者の経験不足や作業フローの非効率さ。
• 自動化技術の導入が遅れているため、手作業が多いこと。

ピッキングミス・配送ミスの改善策

• 自動化とロボティクスの導入: ロボットを活用した自動化されたピッキングシステムを導入することで、ミスを減らすことができます。(弊社ではAuto storeを導入しており、ピッキング・配送ミス防止に役立っています。)

• バーコードスキャナーとRFID技術の活用: 商品にバーコードやRFIDタグを取り付け、ピッキング時にスキャンを行うことで、誤配送を防ぎ、作業の正確さを確保します。
• 作業フローの見直し: 倉庫内のレイアウトを最適化し、よく注文される商品をアクセスしやすい場所に配置することが重要です。また、ピッキング作業の標準化や作業者へのトレーニングも効果的です。

人員不足

EC物流業界では、人員不足が深刻な問題となっています。特に、繁忙期(年末やセール時など)やピークシーズンには、急激に注文量が増加し、それに伴い物流センターでの作業員が足りなくなります。これにより、作業の遅延やミスが増加し、結果として顧客に対するサービスの質が低下します。

人員不足の原因

• ピーク時の需要急増: セールや特別キャンペーン時に、注文量が急増することが予測されるが、臨時スタッフの確保が間に合わないことが多い。
• 労働環境の厳しさ: 長時間の立ち作業や重い荷物の取り扱いが求められることから、物流センターで働く人々が過酷な労働環境に直面することがあり、これが労働力の確保を難しくしています。

人員不足の改善策

• 自動化・AIの活用: ピッキングや梱包作業の自動化により、人手を減らし、効率的な作業を実現できます。また、AIを活用した需要予測によって、ピーク時に必要な人員数を事前に調整することも効果的です。
• 物流アウトソーシング:発送代行業者に物流をアウトソーシングをすることによって、出荷業務から
手が離れ、繁閑の対応を心配する必要が無くなります。

在庫差異

在庫差異とは、倉庫内の実際の在庫数とシステム上の在庫数に食い違いが生じることを指します。この差異が発生すると、実際に商品がない状態で注文を受けてしまったり、過剰在庫が発生することになります。結果として、無駄なコストがかかり、顧客への配送遅延や不良在庫の問題が生じます。

過剰受注は、ユーザーの信頼を失うばかりか、各モールにおいても大きなペナルティの原因となってしまいます。

在庫差異の原因

手動管理の限界:在庫管理が手動で行われている場合、人的ミスにより、在庫数が正確に更新されないことが多くあります。
システムの同期問題:複数の倉庫や販売チャネルが存在する場合、それぞれの在庫データがリアルタイムで同期されないことがあります。これにより、システム上では在庫があるとされている商品でも、実際には品切れになっていることがあるのです。
商品の取り扱いミス倉庫内での商品取り扱いや棚卸し作業の際に、商品を誤って他の場所に移動したり、間違った場所に保管されることがあります。

在庫差異の改善策

• 在庫管理システム(WMS)の導入:在庫管理システム(Warehouse Management System, WMS)を導入することで、リアルタイムで在庫状況を正確に把握できます。これにより、在庫の過剰や不足を防ぎ、業務の効率化が図れます。
定期的な棚卸:在庫の定期的な棚卸しを実施し、実際の在庫数とシステム上の在庫数を一致させることが重要です。また、バーコードやRFIDタグを使用して、棚卸しの作業を効率化することができます。

結論

EC物流は、オンラインショッピングが普及する現代社会において、企業の競争力を支える重要な要素となっています。

物流の効率化と迅速化は、消費者の満足度を高め、企業の利益を向上させるために不可欠です。今後、テクノロジーの進化環境への配慮を取り入れた物流システムの構築が求められます。

EC物流の効率化など、ご相談事がある方は、是非コメントをしていただければ、回答させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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